労働組合とは①【歴史が私たちに教えてくれること】
職員の皆さん、お疲れ様です。
長かった酷暑もようやく去り、いくぶんは過ごしやすくなりました。夏の疲れは出ていませんか。
今回は、「そもそも、労働組合って何で作られたんだろう?」という職員の方々の声にお答えして、労働組合の歴史【イギリス編】について書きます。
歴史とは、今日の現実から、その現実がいかにして作られて来たのかの道筋を考えるものです。
現在の私たちが保障されている権利は、労働組合がはじめて結成された時代には決して「当たり前」のものではありませんでした。
過去の歴史があって今の私たちの権利があるのです。
労働組合は、200年以上の歴史があります。
労働組合の起源は、世界で最も早く資本主義社会が発達したイギリスです。
イギリスでは、18世紀後半、機械による大量生産体制となったことにより、資本家と農村から都市に流れ込んだ賃金労働者が生まれるようになります。
当時の労働者は1日14時間から15時間働いていました。
住環境も整っていない状態で、1日24時間の内14~15時間働くということは、過酷で大変辛かったことでしょう。
労働者は、パブに集まり、使用者や過酷な労働環境、労働条件について話したり、愚痴るようになります。
労働者達は次第に顔なじみとなり、お互いのことを話す内に仲間となります。
仲間が使用者から一方に賃金を下げられたり、工場の機械で負傷した際は、「はい、もうやめだやめだ!」とみんなで一斉に工場を出て行くことがありました。(いわゆる『ストライキ』ですね。)
労働者みんなが工場を出ていってしまうことで、工場が全く動かなくなり、経営者は困ることになりました。
労働者は、次第に職場を動かしているのは労働者であること、資本家により搾取、利用されていることに気がつくようになります。労働者たちが、主体的に団結することによって資本家と交渉し、労働条件の改善をめざして組織されたのが労働組合となりました。
資本家たちは、労働者の労働時間、労働環境については無関心であり、自らの利益のために働く労働者を必要としました。そのため、権利や利益を訴える労働者を弾圧するようになります。
使用者からの弾圧に対して、労働者たちは当初、ラダイト運動という穏やかではない暴力に訴える手段に出ましたが、自らの経験により、次第に合法的に組合活動を行おうとする動きになりました。
経営者であるロバート=オーウェン氏は、労働者の労働環境や労働条件を見て、心を痛めていたため、資本家と労働者の共同経営する理想的な工場をつくろうと考えました。彼は、労働者を応援する資本家でした。
政治の流れは自由主義的な流れとなり、労働者団結法が制定され、労働組合の結成が公認されるようになりました。
労働組合結成後も、長時間労働の問題は依然として残されており、労働者の健康問題や生産性の低下から、労働者が労働時間の短縮を訴える労働運動を行うようになります。
その結果、イギリス政府は1833年に9歳未満の児童の労働を禁止し、9歳から18歳未満の労働者の労働時間を週69時間以内に制限する「工場法」を制定しました。この工場法は、世界初の労働者の保護立法です。工場法はその後何回か改正され、1874年には全労働者の月曜日から金曜日までの労働時間は1日最大10時間であるとされました。
その後、労働者の参政権を要求するチャーチスト運動により、児童労働を禁止する改正工場法が施行されます。
そして、1871年には労働組合法が成立しました。
現在の日本においても『労働組合法』があります。
憲法 28条が保障する労働基本権を基礎にしており、労働組合や団体交渉権などについて規定しています。労働組合法は、労働基準法、労働関係調整法と並び、労働三法の一つです。
労働関係における使用者との対等な立場を確立するため、労働組合の行う正当な争議行為、団体交渉その他の団体活動に対する刑事免責 (1条2項) 、民事免責 (8条) を定め、労使間の団体交渉の結果、締結される【労働協約】に特別の効力を認めています。
(労働協約については、「労働協約と労使協定について」を見てください。)
使用者の労働組合に対する干渉や団体交渉の拒否を【不当労働行為】として禁止しており (7条) 、そのための【労働委員会の組織と権限】などについても規定があります。 (19条以下)
歴史を振り返ると、過去の労働者の闘いにより勝ち取った権利や自由が、国や時代を超えて、現在の私たちの権利や自由の保障の土台になっていることがわかりますね。
いつの時代も、労働条件は、労働者の人生と働き方に関わってくることです。
- 賃金はきちんと保障されているのか
- 労働時間はどれぐらいか
- 年次有給休暇は取得できるか
- 休憩時間はきちんととれるか
- 残業代はきちんと払われるか
- 職場環境は良いか
- 理不尽な異動・配置転換はないか
- 労働安全衛生と安全配慮義務が守られているか
- 仕事をきちんと教えてくれたり、研修機会を設けてくれるのか
- 職場にセクシュアルハラスメント・パワーハラスメントはないか
- いじめや差別はないか
- 民主的に意見が言える風土や雰囲気があるか
- 育児・介護休暇を取ることができるか
- マタニティハラスメントはないか
- 部署に適切な人員がいるか
など
上記の全てが、労働者の働きやすさの重要な要素であると考えます。
上記の労働条件・労働問題について
ご相談・ご意見がありましたら、
北里大学病院労働組合準備会
または上部団体である
神奈川県医療労働組合連合会
までご連絡ください。
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