ブラック企業について

職員の皆さん、お疲れ様です。

今回は、『ブラック企業』とは、どのような企業のことをいうのか皆さんと考えていきたいと思います。



『ブラック企業』という言葉は、2013年、流行語大賞ベストテンに選出され、以後誰しもが知っている言葉となりました。
このブラック企業という言葉は、学者が作った言葉ではなく、マスメディアによる造語でもありません。

インターネットに端を発した誰が言い出したかわからない真の意味の俗語であるとされています。


用いられ始めたのは、1990年後半から2000年前半頃とされています。この時期は、ITバブル時期であり、各企業がIT関連の設備投資を行っていた時期です。また、請負、出向、派遣等、多重構造の労働形態となり、偽装請負や違法派遣が問題となりました。
2000年初頭、ITバブルが崩壊すると、労働環境が更に悪化し、過酷な労働環境を示す言葉として「ブラック企業」や「ブラック会社」という用語が拡散され、他の産業に従事する労働者からも自身の勤務先がブラック企業であるというような声が上がり、更に「ブラック企業」や「ブラック会社」という言葉が拡散されていきました。
インターネットにおける「ブラック企業」、「ブラック会社」という言葉から、書籍も発行されるようになりました。

2012年頃から、ブラック企業とは、労働問題であり、その原因は『社会』にあるとされました。

これまでのブラック企業で潰される若者に対する「耐性がない。」「我慢強さがない。」「甘えている。」という認識が誤りであるとされたのです。


2013年には、ブラック企業被害対策弁護団が結成されました。

その設立趣意書において、ブラック企業について以下のように定義しました。

狭義の定義:「若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業」

→この狭義の定義は、ブラック企業のコアとなるものです。

ブラック企業では、大量の労働力を必要とするため、多くの若者労働者を採用しなくてはなりません。そもそも労働者を使い潰すのが目的であるため、労務管理も行き届かず、劣悪な労働条件となります。ブラック企業は、こうした状況を誤魔化し正当化する必要があるため、労働者に「やりがい」「希望」「キャリアアップ」「夢」等の言葉を用います。それは単に違法状態の過重労働を労働者に受け入れてもらうための方便に過ぎません。使い潰された労働者は、精神疾患を発症してしまい、苦しむこととなります。

広義の定義:「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」

→長時間労働やサービス残業等の違法な労働を強いて、労働者の健康に害をなします。また、ブラック企業にとって、切り捨てたい労働者は自主的に退職するようハラスメントやいじめを行います。

厚生労働省は、ブラック企業について、「若者の『切り捨て』が疑われる企業」としています。


現在においても、「ブラック企業」や「ブラック会社」という言葉が死語になっていないのは、これを裏打ちしている労働環境が存在しているためであると考えています。 


そもそも、なぜブラック企業が生まれるのでしょうか。


わたしたち北里大学病院労働組合準備会は、以下の理由であると考えています。

1.労働組合の組織率低下により企業の労働法等の違反に対して、チェック機能が働かなくなっている。労働者がものを言いづらい職場になっている。

2.現在の日本の教育は、労働法をしっかり教えない教育プログラムである。労働者の労働法等の労働ルールに対する知識不足や意識の欠如が生じるようになっている。

3.不安定な非正規雇用が増加している。正社員を望む若者は、企業に対する異常性への判断が低下してしまう。

4.経営側が短期的利潤追求に重きを置き、労働基準法が守ろうとしている価値を攻撃する。

〔例〕
「今、企業は赤字だから、残業代なんか払ったら、潰れてしまう。」
「過労死などは、自己責任に係る問題です。」
「労働基準法なんて守っていたら、企業が潰れてしまいますよ。全く。」

5.企業が、労働者の権利や人格などを全く度外視して、以下のブラック企業の考えに沿う理想的な労働者を求めている。

①実質的な賃金が安く、企業が残業代を払わずに長く働いてくれる労働者
②採用後、すぐに「使いもの」になる即戦力
③企業に対する忠誠心が強く、社会的通念から外れた考えや無理を言っても従う労働者
④企業が要らないと判断したら、自ら辞めてくれる労働者であること

典型的な事象を整理すると、ブラック企業では、以下の手口が行われています。

1.募集・採用

①賃金・雇用形態・労働条件偽装等の求人詐欺
②労働契約書や労働条件通知書の不交付

2.選別

①入社後選別
②大量採用と大量離職
③気に入らない労働者に対する隔離や仲間外し、仕事を教えず孤立させる・情報遮断、不必要・過度な業務命令による戦略的パワハラ、差別的対応(指導とは名ばかりで単なる憂さ晴らしや依怙贔屓による特定の労働者に対し執拗に行うケースを含む)

3.使い潰す方法

①長時間労働と残業代不払い、勤続年数が上がるにつれ賞与減額、昇給がない等
②名ばかり管理職にして残業代不払い
③いじめ・ハラスメント蔓延による職場崩壊
④労働者に過酷なノルマを課す。または雑用を多く行わさせる。
⑤労働者を完全に支配するため、目的が不明で労働契約上不必要である労働者の個人情報に係る事柄等を収集・記録化し、記録をもとに労働者を攻撃する。
⑥給与から税金や保険料以外の「契約や同意を行っていない」事柄についての金額を差し引く。労働者が金銭的に搾取されている。
〔例〕強制的な互助会費・親睦会費、会社勤務感謝金、会社設備使用料、会社駐車場料金、職場環境向上費、クリーニング代、業務上必要な事務手数料や研修費用、業務上のミスで生じた損害、遅刻、無断欠勤などの罰金等
⑦労働者を危険な状況で業務させる、労働災害の誤魔化し
⑧年次有給休暇等の各種休暇の取得を認めない、時季変更権の濫用
⑨不当解雇
⑩退職妨害



わたしたち北里大学病院労働組合準備会は、『ブラック企業』、『ブラック会社』を許しません。

 






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北里大学病院の職員による職員のための労働組合準備会ホームページです。 北里大学病院と対等に交渉することができるのは労働組合だけです。より良い労働環境は、対等な労使間の話し合いで生まれます。 個人で抱えている問題は、組織の問題です。 労働条件の維持改善と職員のワークライフバランスの向上を目指し、活動していきます。 (上部団体:神奈川県医療労働組合連合会)