ハラスメントについて①(パワーハラスメント・モラルハラスメント)
職員の皆さん、お疲れ様です。
日に日に秋も深まってきましたね。
さて、今回はハラスメント(パワーハラスメント・モラルハラスメント)について書きます。
近年、日本国内の職場における労働者の『いじめ』や『パワーハラスメント』の相談件数や、それを原因とする『うつ病』などの精神障害発病による労災補償を受けるケースが増えています。
現在、職場のパワーハラスメント(パワハラ)対策を議論する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会において、パワハラの定義をめぐる議論が活発化しています。
パワーハラスメントは、現代の職場における最も深刻な社会問題であるといえます。
パワーハラスメントについては、法律上の規定は存在せず、セクハラやマタハラと異なり事業者の措置義務も規定されていないため、何が違法なパワーハラスメントに該当するのかは個々の具体的な事案ごとに判断するしかないのが現状です。
職場内の優位性についての概要は、以下のようになります。
また、業務の適正な範囲についての概要は、以下のようになります。
さらに、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為についての概要は、以下のようになります。
職場のパワーハラスメントについて、裁判例や個別労働関係紛争処理事案に基づき、次の6類型が典型例とされています。以下の典型例に該当しなければ、パワーハラスメントではないということにはなりません。
パワハラが起こりやすい集団というのは、組織が組織として正常に機能していないケースが多いです。
具体的には、
- 指示命令の系統が適切に確立していない。管理職が適切に管理していない。
- 過去にもパワハラ問題を起こした人間が野放しになっている。
- その部署(またはグループ)だけが物理的、組織的に孤立している。
- 組織にパワハラの相談窓口が設けられているが、相談すると組織にその内容が知れ渡る。相談した者は、組織に不満を持つ人間とされ、組織的にいじめやハラスメントをされ、更に職場環境が悪化する。
- 思うように有給休暇が取れない。
- 残業代が払われないのは当たり前
- 給料が上がらない。
- 業務量が多い。
- 職員の多くが常にイライラしている。
等といったことが挙げられます。
要するに、
組織自体が人を大事にしていないと言うことができ、「パワハラに対する考え方」が甘いといえます。
こうした組織でパワハラ被害に遭う人は、組織の未熟さゆえの犠牲者と言っても過言ではありません。
その組織の誰もが不満や不安を抱えてくすぶっているわけで、その矛先が、たまたまその被害者に向けられてしまったとも解釈できます。
問題は、待遇面を考慮してくれない組織側にあるのに、パワハラのターゲットをスケープゴートにすることで、その問題の本質を解決することから逃げていると考えることができます。
このスケープゴートの方法をたくみに利用しているパワーハラスメント上司として、4種類を紹介します。
①『恐怖支配型上司』
『恐怖支配型上司』は、特定のパワハラ被害者をスケープゴートにすることで、「自分に逆らうととどうなるか」を周りの人に見せつけます。ある程度、実力のある職員がいい見せしめとなります。スケープゴートを作ることによって自分の権力を周知し、自分の支配権を確立しようとします。しかし、いけにえを作ることでしか誇示できない強さは本物ではありません。そのような形でしか自分の強さを示せないというのは、弱い証拠です。つまり、真の実力はないわけです。パワハラ上司は、上に立つことによって、スケープゴートが下から上ってこれないようにする。それは、上からのぞき込まれたら底が見えるからです。自分の底がとても浅いことを自分で知っているのです。常に自分を上に置きたがるため、誰かにスケープゴートになってもらわなければ自分を保てず、自信がないわけです。自分に実力がない分、パワハラのターゲットをヒトとして扱うことなく、道具として利用することで、自身の『支配欲』を満たしているわけです。真の実力を持った人は、恐怖支配などはしません。
②『張り子のトラ型上司』(『虎の威を借る狐上司』
中身(実力)は空洞である、つまり実力など微塵もないパワハラ上司です。 「トラ」とは、管理職という肩書きであり、実力もないのに肩書きで威張るタイプです。 中身がなく、「形」で行います。例えば、自分の自尊心を満たすために、ターゲットにした部下に執拗に「指示、チェック、管理、叱責、育成」という言葉を多用し、「管理職」らしく見せます。他の社員に対しても管理職として優秀であるかのごとく見せかけるのですが、被害甚大な上に、最も大切な人材さえなくしかねません。「百害あって一利なし」の典型です。
③「職場カプセル」型上司
職場と自分が一体化し、職場があたかも自分の手足のように自分の一部とみなしている上司のことです。「人」の集団とは見ていませんから、その職場にいる人たちは疎外されます。その上、その上司の顔は外を向いていますから、外に対してはいい顔をしようとします。例えば、・部下に自らは指導しない。・指導しないが、上手く管理ができなければ「私はこんなに困っている」と他部署に話す 。・経営情報やその他伝えるべき情報等、他部署の人に話しても自部署には話さない 。・部下が困っていても、他部署が不利になると思えばすべてを却下する。・職場の中で意見を持つ人間は差別して遠ざける(会議に呼ばないなど)
④『サイボーグ型上司』
例えると、ターゲットにした部下をあの手この手を使って自分の右腕に作りかえようとします。「人」を洗脳し、人格改造して「右腕」に作りかえ、場合によっては左腕も作り、自らはサイボーグになります。このタイプのパワハラ上司は部下が自分の思うようにならないと知ったとき、部下を潰しにかかります。
部下に洗脳を行ったり、部下自身に考えさせずロボットにするタイプの上司は、ダブルバインド(二重拘束)という方法を用います。
1.命令に従わないことを禁じる第一次禁止令
上司は、ターゲットである部下に「こういうことは事前に相談してください!」等と言います。「こういうこと」とはどの程度のことなのか明示されていません。明示されていないため、部下が用心のためと思って相談に行くと、次に上司は「そんなこともあなたは自分で判断できないの?」等と言います。条件をあいまいにしておくことで、結局はターゲットである部下の全ての行動を責めます。責めて精神的に追い詰めるのが目的です。
2.異議申し立てを禁じる「第二次禁止令」
上司は、「あなたのためを思ってるの。黙って聞いてください。」等と言います。問答無用の強制です。指示に従わないことを禁じ、その指示に対する異議申し立てを禁ずるという二重の禁止令で拘束します。
3.関係から逃げることを禁じる「第三次禁止令」
上司は、「あなたは、私の部下であるため、私の言うことを聞かないといけないんですよ。」等と言い、逃げることを禁じる状況や命令を行い、ターゲットである部下を更に精神的に追い詰めます。
また他にも、このタイプのパワハラ上司は、以下の方法を行います。
①部署からの隔離・仲間外し・分断・孤立化(上司、同僚、部下、仲間、他部署などから)
②自信、自尊心、矜持の剥奪
③権力の誇示
④強制
⑤脅し
⑥否定
⑦宣告
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